2008年05月14日

今年も観劇「團菊祭五月大歌舞伎」

去る5月11日,歌舞伎座に「團菊祭五月大歌舞伎」を観劇に行ってきました。

亡くなった母が当代の團十郎の大ファンであったこと,母の誕生日が5月であったことから,子供の頃から5月の團菊祭にはちょくちょく行ったことを覚えています。

今年の出し物は,九世團十郎や五代目菊五郎にちなみ,河竹黙阿弥作の舞台がメイン。昼の部には「極付 幡随長兵衛」,夜の部には「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ) 白浪五人男」が上演されています。江戸歌舞伎のおもしろさが凝縮された出し物といえるでしょう。


今回は夜の部を観劇。「白浪五人男」は平成16年4月歌舞伎座での勘九郎(当代勘三郎)の弁天小僧以来。

白浪五人男といってもピンと来ない方もいるかもしれません。「弁天小僧菊之助」といえばおわかりでしょうか? また,白浪とは盗賊の隠語であることはご存じでしたか?

白浪五人男は,日本駄右衛門という大盗賊を頭に,そこに集まる盗賊の生き様をつづるお芝居。今回は弁天小僧菊之助を菊五郎,日本駄右衛門を團十郎,南郷力丸を左團次,赤星十三郎を時蔵,忠信利平を三津五郎が勤めます。


序幕は弁天小僧を中心に,盗賊たちが日本駄右衛門の仲間になってゆくさまを描きます。
序幕「新薄雪物語」の序幕を踏襲した,桜が満開の初瀬寺を舞台とする華やかな場面で始まります。歌舞伎ではこういう「ほかの舞台の場面を借りるパロディ」が良くありますね。日本駄右衛門との出会いの場面は「児雷也」の一場面ともよく似ています。そして回向料の百両を巡って赤星十三郎と忠信利平の奇妙な巡り会い…「思いがけずに手に入る百両」と「三人吉三」にも出てくる科白に黙阿弥の洒落っ気を感じます。


二幕目は世話物風の幕になります。呉服店浜松屋を舞台とした,ある意味壮大な化かし合いが展開します。
序盤は浜松屋の店先で,女装した弁天小僧と伴の奴に化けた南郷力丸が品物をせしめようとするところから始まります。正体がばれて,「こんな窮屈な格好はやめたやめた。お〜暑い暑い」と女装した弁天小僧が襦袢の前をはだけて仰ぐさま,番頭に算盤で額に傷を付けられた事をネタに謝罪の金子を強請るさま,そして実は番頭までもが売り上げをちょろまかしていたというオチがつき,思わず笑ってしまいます。

さすがに音羽屋の芸だけあって,当代菊五郎のうまさが光ります。

第二場では序盤での窮地を救ったはずの侍が実は日本駄右衛門であり,弁天小僧の騙りを見破ったのも騙りであり,実は浜松屋の金子すべてをねらっていたというどんでん返し。さらには黙阿弥に特徴的(?)な浜松屋の息子が実は日本駄右衛門の子であり,浜松屋の実子が弁天小僧だったという複雑な人間模様。偶然に偶然が重なりすぎて,昼ドラもびっくりのばかばかしすぎるほどの設定ですが,歌舞伎になるとあまり気にならないのはなぜでしょうね。

第三場では,五人の盗賊が浜松屋に仕立てさせた小袖を着て,「志ら浪」と描かれた傘を持ってのそろい踏み。捕手を前に七五調の科白で一人ずつ名乗りを上げる,歌舞伎らしい華やかな舞台です。菊五郎,團十郎,三津五郎,時蔵,左團次の当代のベテランが一堂に会するさまは,とても贅沢。さすがに團菊祭,江戸歌舞伎の粋な感じが良く出ています。


大詰。盗賊たちにもついに追手が迫り窮地に立たされます。
第一場では極楽寺屋根の上での弁天小僧と捕手の立ち回り。以前より菊五郎劇団の立ち回りは評判ですが,今回も魅せてくれました。菊五郎も息も乱れずに演じているさまはとても還暦を超えたとは思えませんね。

第二場。極楽寺山門での進退窮まった日本駄右衛門と捕手の青砥藤綱(富十郎)の対峙。大人しく縄に付こうとする日本駄右衛門に「義賊ゆえにこの場は見逃す」と青砥藤綱はこの場は見逃し再会を約束します。
ほんの10分程度のちょい役ではありますが,富十郎丈の存在はとても大きくて,舞台がとても引き締まります。

「この場は収めて後日決着を図る」というこれも歌舞伎特有の幕引きの方法。いわばお約束ごとのようなものです。日本人の持つ義理堅さの一面がにじみ出ているようにも思えます。「非寛容・他罰的」と言われる近年の日本人には持ち得ない心の広さのような気がしますが,いかがでしょうか?


勘九郎を中心とした,平成中村座の面々での「白浪五人男」も良かったですが,今回の「白浪五人男」もベテランの味わいがとても良く出たお芝居でした。
江戸歌舞伎のテンポの良さも併せて楽しめます。26日まで,東銀座の歌舞伎座で公演中です。


僕自身は,昼の部の「極付 幡随長兵衛」も時間があれば観てみたいですねぇ。ひいきの尾上松也くんも出てますし…。





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posted by うぱっぴ at 03:40| Comment(8) | TrackBack(1) | 趣味:歌舞伎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
次の日曜日、団菊祭観にゆきます。
昼の部、夜の部両方です。
今から楽しみです。
Posted by やじ at 2008年05月14日 07:30
>やじさん
今度の土曜日ですね。
昼夜通しでご覧になるなんて,やじさんの体力には脱帽です。
昼の部,幡随長兵衛も義経千本桜も良さそうですね。
海老蔵の知盛,興味津々です。
Posted by うぱっぴ at 2008年05月16日 12:27
落前の日曜夜(明後日)がとれたので、久しぶりに夜を通しで観られることになりました。24日も有楽町に終日なので東京に行ったり来たりです。学生の頃みたいに昼夜ぶっ通しも...と思いましたが、先週は日本にいなかったし、体力的に月曜日の事を考えてやめました。大人の分別、と言いたいところですが、今週末に入れてるあたりでかなり無謀です(爆)。

まあ体力消耗するからには楽しんでこないとねv(^^)
Posted by をたく at 2008年05月24日 00:16
久しぶりに弾けてきましたぁ!
いやぁー楽しかった...けど、明日からがブルーです(T_T)
Posted by をたく at 2008年05月26日 03:02
>をたくさん
やっぱり團菊祭はいいよね。江戸歌舞伎の神髄。
楽しめたようで何よりです。

まあ,楽しかったあとに鬱っぽくなるのは誰でもあることだし…
反動だから仕方ないよね。
Posted by うぱっぴ at 2008年05月28日 23:15
> 反動だから仕方ないよね。
そうそう。まあ仕事もしないと芝居もいけませんからw。
それでもやっぱり
>やっぱり團菊祭はいい
ですね。
うぱっぴさんのお母様には申し訳ないのですが、小生、当代の團十郎さん、以前はあまり好きではなかったのです。ですが、病気の後に戻ってきて、舞台に立てる喜びを噛みしめたのでしょうか?ここ数年は舞台での存在感が段違いに大きくなって、とてもいい役者さんになられたように思います。日本駄右衛門は以前観た十七世市村羽左衛門が風格があって絶品だったのですが、今回の成田屋さんも観ていて納得の上々吉。菊五郎さんは、流石に音羽屋のための芝居だけあって言うことなし。ってか、この弁天小僧みせられちゃうと、ちょっと暫くは他の弁天小僧はいいや..って感じになりましょう。高島屋の南郷力丸は実にはまり役。当代の團菊左がならんで騙るのだから、こりゃ浜松屋もたまったものではありません。
ただ、ちょっと残念だったのはその浜松屋の番頭さんが今ひとつでした。といっても、東蔵さんが主人に座ってしまうと、鶴蔵さんは流石にお歳でしょうから、たしかに「これぞ」って役者さんがいなくなってしまったのも事実です。逆に言えば仁の固まっていないスジのいい人をどんどん登用して、いい脇役を育てるのも菊五郎劇団に大事な仕事ですので、全体としてちょっと弱い感じはしましたけど、頑張っていたとおもいます。ひいきなんですが、梅玉さんも鳶頭にはちょっと線が細いかな?仁としては、梅玉さんが倅で、海老ちゃんが鳶頭の方が似合いそうなんですが、後で親子の名乗りがあるし、舞台で親父さんや音羽屋さんの芸の勉強出来る時間が長いから、ここは海老ちゃんなんでしょうね。
亡くなってしまった方を思ってもしかたないのですが(;_;)、鳶頭、松助さんで観たかったなぁ...。実に惜しい役者さんを亡くしました。松也くん、いい役者になるんだぞ!(松助・松也の襲名観たなぁ..ちっちゃくて松也くん可愛かった。)
Posted by をたく at 2008年05月29日 00:23
連投失礼
芝居は良かったのですが、久しぶりの一幕見じゃない歌舞伎座に入って吃驚したことが幾つか。

一、3Fのそば食堂が無くなってしまった!
入り口の前で食堂の予約を始めたのはいいのですが、そば食堂の予約を取ろうとおもったらありません。幕間に蕎麦たぐって一杯ひっかるのが楽しみだったのでかなり残念..orz まあ、これは経営的な問題でしょうけど。

一、3F天井桟敷ともいえる東・西い1-4、東・西ろ1-4の席が消失。
まあ、あまり見やすい座席ではないのですが、誰か人でも落ちたのでしょうか?係員がパイプ椅子に座って客席を「監視」しているのはどうも頂けません。ちょいと開演中に通路の方にいって花道を観るなんていうのは3Fでは当たり前なのですが、勢揃いの時も東の壁際に立っている客を幕間から座らせるなんていう野暮を最近の歌舞伎座はやらないとダメな状況のようです。

一、売店にアルコール類がない!
をいをい、かべすを突っつきながら一杯引っかけるのが楽しみだろうに!と、思いつつも、きっと呑みすぎて係員とか他の客に絡むようなタチの悪いのが出てきた結果なんだろうな〜。

というわけで、
>「非寛容・他罰的」と言われる近年の日本人
は歌舞伎座内にも増殖しているようです。
Posted by をたく at 2008年05月29日 00:40
>をたくさん
当代の團十郎は病気から回復して,言われるとおり一皮むけた感じがします。前は確かに「イモっぽい」感じがなきにしもあらず。

歌舞伎座は最近は贅沢にも1階でしか見てないのでせいぜい2階までしか行かないのですが…たしか,1階の西側の売店は缶ビールを売ってたような気がします。
それにしても,携帯電話の電源を切れというアナウンスだけでなく,開演中の飲食は…,とか言うアナウンスまでされるし,監視の係員が1階でも隅の方に待機していたりとか,確かに変わってきています。やっぱり客層が変化したのでしょう。
とくにおばさま方に人気の役者さんが出てくるときは,普段歌舞伎座に出入りしないような方々も散見され,その方々のマナーのなさと言ったら…幕間に支度中の花道を平気で横切ったり,他人にはうるさいと文句を言うクセに,仲間たちとはベチャクチャおしゃべり…舞台の空気を読まずにどこでも拍手するから,科白が聞こえなかったり…。
演舞場は歌舞伎座以上にそういう手合いが多いので,すっかり行く気が失せてしまいました。
歌舞伎の人気が出てきたことは素直に喜ばしいことですが,観る側のマナーがついて行っていないのは悲しいことです。
Posted by うぱっぴ at 2008年05月31日 16:53
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さようなら東京:また来週
Excerpt: 朝の十一時から夜の八時半まで、 歌舞伎座で「団菊祭」を観ていました。 昼の部の「碇知盛」、海老蔵頑張っていましたね。 魁春もいい感じでした。 まあ、やじとしてはこの前松竹座でみた、仁左衛門の知盛のほ..
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Tracked: 2008-05-20 07:27
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